ショパンのエチュードについて
guukadoさんより動画お借りしました
ショパンのエチュード作品10および25はピアノを習ううえでの技術的なテクニックの宝庫です。
多くのピアノを学ぶ人たちにとっては、バッハの平均律やベートーヴェンの32曲のソナタと並んで、宝の山であると同時に険しい断崖絶壁のようなものともいえるでしょう。
しかし、ピアノを習得するうえで誰もが通過しなければならない「難所」であることには違いありません。
音楽大学の入学試験でもショパンのエチュードはすでに課題曲として定着していて、前章のチェルニーのエチュードとはひと昧も二味も違った難しさがあります。
さまざまな見地から考えて、受験生のポテンシャルを計るにはこれ以上の課題はないと思われます。ただ、この断崖絶壁にやみくもに正面からぶつかっても、そう簡単に制覇することはできません。そこで、一曲一曲についてその仕掛けについて考えてみてみましょう。そうすればそれぞれの曲についての理解も深まり、曲をより速く制覇できるのではないでしょうか。
ショパンのエチュードが書かれた経緯
当時ショパンはまだ19歳。一人の若者が自分流のエチュードを書き始めたのは驚異的なことです。しかもその後の時代のピアノのテクニックを大きく変えてしまうことになったのですから。
しかし、当時の音楽もまた大きな変革期を迎えていたのです。この一番
の引き金となったのは、ピアノという楽器の飛躍的な発達でしょう。この楽
器の発達にともなう表現力の拡大が、作曲家の創作意欲を大いに剌激したに違いありません。その結果、演奏技術も高度なものが求められるようになったのは当然といえます。そのような流れの中で、やがてフンメル→ヴェーバー→メンデルスゾーン→ショパン……と続くロマン派のピアニズムの一つの系譜が形作られていきました。
ショパンにとってはフンメルの影響が大きいようですが、同時にパガニーニの技巧に触発された可能性も充分考えられます。ショパンは当代随一のヴァイオリニストであったパガニーニの演奏をワルシャワで聴いた、とされています。