チェルニー50番が練習には最適な理由
ピアノ練習記録さんから動画お借りしました
入学試験でショパンのエチュードを課題として課す音楽大学が多いようですが、受験生、音大生を問わず、普段の練習ではチェルニー50番を勉強している方も結構いると思いますが、エチュードの中では人気の高い曲だと思います。
それには理由があります。チェルニー50番というと無味乾燥な練習曲というイメージが強いのではないでしょうか。
なぜなら、今までの風潮では、チェルニーは「速く且大きく且正確に」弾くことが是とされ、音楽的な側面や、どんな技術を習得するための曲なのか、そのためにはどのように練習すればよいのか、という非常に大事な点がおろそかにされてきたように思うからです。
とにかく無理矢理でも弾きこなせればいいという感がありました。
しかし、それでは一曲一曲を目的意識を持って仕上げていくことがなおざりにされ、結果的には良質のテクニックを身につけることはできないということになります。チェルニーの意図は完全に無視されたも同然です。
以上のような状況から考えますと、さまざまな技術を一つずつ確実に学んでいくには、実はチェルニーの練習曲が非常に適していると想像できます。それぞれに固有の技術が盛り込まれ、それを理解して練習していくと、いつの間にかさまざまな技術が身につきます。音楽的な要素にはやや欠けるというものの、役に立つ練習曲ではあります。ゆえにナンバーワンの地位を保っているのでしょう。
このチェルニー50番にもさまざまな技術が盛り込まれています。
その一例をあげてみましょう。
1番 安定した手での指の運動
7番 同一鍵盤上での指の交替
12番 左手の柔軟さ
22番 トリルの練習
39番 3度の練習
45番 分散和音におけるレガー卜の旋律の練習
ということになるのではないでしょうか。そして、以上の音型をレガートで
弾いたり、ノンレガートで弾いたりというヴァリエーションがあります。
練習曲といえども一曲一曲は楽曲として成立していますので、最初から最後まである一つのパターンで統一されているわけではありません。
基本的にはスケールの練習曲でありながら、ところどころにアルペッジョや和音が入っていたりすることもあります。ただ割合としてスケールが、アルペッ
ジョがその曲の多くの部分を占めるというものです。