テクニックの歴史
ピアノのテクニックはここ100年の間に目覚ましい進歩を遂げました。
そこで進化していくテクニックの歴史を振り返ってみるのも悪くありません。
それにはエチュード(練習曲)の歴史を紐解いてみるのが良いでしょう。
皆さんはカール・チェルニーをご存じでしょう。彼は1791年生まれのオーストリアのピアニスト、教育者です。彼はその生涯の中でおびただしい数のエチュードを残しています。では彼はなぜそんなにもたくさんのエチュードを書いたのでしょうか。そこにはピアノと言う楽器の発達が大きく関係しているのです。
ピアノのアクション(音を出す仕組み)の原型は 1709年イタリア人のクリストフォリによって考案されました。その後改良に改良が重ねられ、現在のような仕組みが出来上がったのは150年ほど前のことです。
チェルニーが生きていた当時は、ちょうどこの改良が盛んに行われている最中であったわけです。
楽器が発達すると言う事は表現能力が拡大するということです。そうなれば作曲家はさらに表現力豊かな作品を書くことになります。作曲家の要求を満たすためにまた楽器の改良が行われます。あまりに曲が難しくなり、作曲家の手に負えなくなったためピアニストという職業が成立しました。
彼らの演奏にかけていますか必至になって練習します。テクニックを磨かなければいけないからです。
そんな彼らの要求に応えるためにたくさんのエチュードが書かれて行ったのです。チェルニー以外にも、くラーマー、モシェレス、ショパン、リスト、ブラームスらがエチュードを書き、それに、ドビュッシー、スクリャービン、ラフマニノフ続きます。エチュードの歴史はテクニックの歴史と重なるのです
これを実際の奏法から見ると、主に指の運動のみで演奏可能だったものから腕全体を使いさらに身体全体を使っていく、という具合にピアノのテクニックは変化していったということになります。